
無駄のない空間に、シャープな感性。確かにバッチリきまったスタイルの家はカッコいい。
だけど、住まいを家族の器として考えるならどうだろう。隙のなさ過ぎる家は、子どもが描いた絵すら飾りにくいなんて話も聞く。せっかくの作品が、リビングでなく子ども部屋にある。それってすごく残念な気がする。
ならば、八重製材所はあえてラフなスタイルを提案します。カッコいいもの、キュートなもの、何でも許容してくれる懐の深さ。鑑賞するのではなく、“住むを楽しむ”ための家。でも、意外と難しい。造り込みが甘いと、それはラフでなく、雑。
子どもたちの創造力に負けない、ワン・オフ(一度限りの製造)の見せどころです。
「“未完成だから面白い”ってホントなんですね」。Kさんが未完成と語るのは、住まいに残された余白。
家族が集うダイニング横の壁には黒板塗料が塗られている。まさにこの家自体が、子どもたちの成長を受け止めるキャンバスだ。
夫はカッコいい家、妻はかわいらしい家が好みだったというKさん。どちらのテイストも馴染んでおり、ラフの包容力を感じさせてくれる。
どこを切り 取っても画になる、フォトジェニックな住まいだ。
鏡に映るレンガの壁は、「三匹の子豚」を読んだ子どものリクエスト。なんだか打合せも楽しそう。
八重製材所では、TVラックなどもオーダーで製作可能。住まいにぴったりのデザインで提案してくれる。その他、ダイニングテーブルなどもオリジナル で製作できる。
シューズクロークの扉にも黒板塗料。ゆくゆくは家族の伝言板になるかも。
壁は下地材に直接塗装を施したラフなテイスト。いろ んなものが飾れるので子どもたちも大喜び。
ラフな仕上げの壁や天井でも、シンプルだからタタミの空間も予想以上に違和感なし。
開放的な吹き抜けもこの家の特徴のひとつ。シンプルな空間を基調としながらも、しっかりとした梁や柱などの構造材そのものがアクセントになっている。
リビング階段に座る子どもたち。いろんなところに居場所がある楽しい家だ。通常、階段手すりは斜めのラインだけで構成されるが、水平の部分を設け、体を支えるのにちょうどよいように設計されている。
子ども部屋は、ベッドにもなるロフトと机が合体したものが造作されていた。床は素足にもやさしいパインの無垢材。子どもたちの創造力を伸ばしてくれそうな遊び場でもある。

ラフスタイルの一つの象徴といってもいい倉庫のような外観。
既成概念に縛られない自由さと、何でも受け止めてくれる包容力がこの家の本質であり、この姿に表現されている。
合板がむき出しになった天井、下地材に塗料を塗っただけの壁、露出した電気配線、地金の鈍い光りを放つ金属。
一見すると超個性的な意匠だけど、間取りは至ってノーマル。むしろ動線や収納などの使い勝手や、暮らし心地の高さが施主には高評価だ。
老舗工務店が生み出す伝統と革新のラフスタイルは、そんな見た目と中身のギャップも魅力の一つかもしれない。
